給付vs消費税減税──どう違う?効果は? エコノミスト「一律給付なら選挙向けのバラマキに」「減税なら税収減のおそれも」
一律給付 vs 消費税減税──何が違う? 本当に必要な対策とは? 物価高への対策として「一律給付金」や「消費税減税」が再び議論されています。エコノミストの間では、「給付は選挙向けのバラマキに過ぎない」「減税は財源に深刻な打撃を与える」といった懸念の声も上がります。
もちろん、これらは一定の即効性が期待される短期策ではありますが、果たしてそれだけで十分なのでしょうか。私は、物価高の根本原因に目を向けた“構造改革”こそ、国会議員が本腰を入れるべき政策課題だと考えます。
給付 vs 減税──即効性はあるが限界も ● 一律給付金のメリットと限界 給付金はスピード感があり、低所得層を中心に家計の支援になります。しかし、所得や消費行動にかかわらず配る「一律型」は、選挙前に実施されると「人気取り」と批判されやすい側面もあります。
● 消費税減税のジレンマ 消費税を下げれば、広範囲に物価圧力を緩和できますが、同時に国の税収を大きく削ることになります。特に社会保障財源に依存する消費税を削るのは、将来の財政に不安を残します。
これらは「目の前の火を消す」対処としては意味がありますが、根本的な火種を取り除かなければ、また炎は上がるのです。
物価上昇の“構造的要因”とは? 現下の物価上昇の背景には、次のような複数の構造的な要因が重なっています。
1. 円安と輸入コストの上昇 円の価値が下がると、燃料・食料・日用品などの輸入価格が押し上げられます。特にエネルギー価格の高騰は、あらゆる産業に波及します。
2. 農業の脆弱性と気候リスク 異常気象による農作物の不作や、担い手不足による国内供給力の低下が、食料価格を押し上げています。特に人手不足は深刻で、生産を増やしたくても対応できない現場も多いのが実情です。
3. 利権構造と投機的価格操作 2025年春の「コメ価格騒動」のように、不作や供給不安に乗じて価格をつり上げる動きも見られます。ここには業界内の利権や、いわゆる“転売ビジネス”の問題も絡みます。
真に効果あるのは“構造改革”だ それでは、どうすればこれらの課題に根本的に対処できるのでしょうか?
● 円安対応:恩恵を再分配する仕組みを 円安で恩恵を受ける輸出大企業から得られる増税収を、家計支援や中小企業の補助に回す。これは単なるバラマキではなく、経済構造の「ゆがみ」を是正する再分配です。
● 農業の立て直し:北日本を主力地域に 温暖化の影響で東北や北海道の農業ポテンシャルはむしろ高まっています。大規模化・自動化により、省力かつ収益性の高い「儲かる農業」へと転換し、若い担い手を増やす戦略が必要です。
● 価格操作への対策:流通透明化と規制強化 農産物の流通をより透明化し、不当な価格吊り上げや投機的取引を監視する制度づくりが急務です。競争原理だけに任せず、公益性を守る政策判断が求められます。
結論:短期と中長期の役割を整理せよ 給付金も、減税も、短期的な火消しには有効です。しかし、火種を消すには構造改革が不可欠です。政治家は、「選挙向け」の政策ばかりでなく、中長期で日本の生活を守る構想と覚悟を示す必要があります。
次の選挙では、こうした本質的な物価対策を公約に掲げている政党にこそ注目したいところです。
コメントをする